2010年 08月 10日
シノーポリのヴェーベルン
「ヴェーベルン:管弦楽作品全集」ジュゼッペ・シノーポリ指揮ドレスデンシュターツカペレ。ワーナーミュージックジャパン、WPCS-10147。
クラシックファンのあいだでは、ヴェーベルンの音楽を現代音楽とは言わないだろうけど、一般的にはいわゆる「わけのわからない」とくくられる音楽。
初期に書かれた曲はなるほどロマン派とも感じるが、いよいよ本領発揮された曲になってくると、どの曲もみな同じように感じられる。曲の個性というのはあるのか、と思ってしまう。分析と分解と再構築の西洋音楽がこういう方向にきたのは正当なように思える。
これらの音楽はどういう位置づけになるのか知らないが、ロマン派までのクラシック音楽に慣れてくると、こういう音楽を聞いている方が飽きないからおそろしい。聞くほどに、わけのわからない、という感覚はなくなる。
おかげで、音楽を聴くということは、聞きたいという好奇心と、ただ耳を澄まして音楽を聴くというそれだけの行為である、ということを理解する。得体の知れない酒を飲んでみたいという欲求と似ている、か。
昔池田満寿夫という画家が、「みんな現代絵画はわからないというが、ネクタイの柄は平気でこっちがいいとかいってるでしょ」みたいなことを書いてたが、なるほどネクタイの柄にしてはちょっとたいへんだが、聴き続けたいか、という問いの答えはでるだろう。
このヴェーベルンのCDは、耳を澄ますのになかなか飽きさせない美しく透明な響きで、それだけでも興味をそそる。
by teccyan1
| 2010-08-10 18:37
| クラシック音楽
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