2011年 11月 04日
森に夢見るギター
「バリオス作品集」ジョン・ウィリアムス(ギター)
(sony records srcr 9763)
先日の俳句に使った言葉「森に夢見る」の曲が入ったCD。1994年録音とある。昔もっていたレコードはもっと古かったので新しい録音ということになる。以前もジョン自身が手を加えて編曲してあったが、今回はそれとも少しちがっている。演奏はますます安定して、「自家薬籠中の物」とはこういうのをいうのであろう。すばらしい。
ブックレットには同時代のギターの巨匠セゴビアがバリオスを認めなかったことについて「セゴビアは結局、バリオスとは異なった音楽的精神風土に生きた人だった」というジョンのコメントがのっていて、なるほどうまいことをいうと感心した。
そういう意味では、ジョンの演奏もまたセゴビアとは音楽的精神風土がちがうだろう。彼の演奏の古典以前の音楽へのアプローチや、その温かみというのはギターという楽器の特徴だけでなく彼の人柄、音楽の、まさしく精神風土がそうさせているのだと。
セゴビアが伝統的西洋音楽の線上にしっかりのっているのに対し、ジョンはギターの響きとしての現代の音楽の世界的広がりを意識させる。現代のという点で、民族音楽、ポピュラー音楽とも密接な関係をもつようにみえる。バリオスの音楽のクラシック的、民族的、ポピュラー的、そしてギター的な要素はまさに現代であるといえる。
このCDはジョン自身がプロデュースしており、ジョンのバリオスの作品に対する高く評価する文章が載っていてなかなか力が入ってる。ちなみにe-bookoffで1489円で最近手に入れた。
彼の美しいギターの響きと、ストレスのない流れるような演奏で、どっぷりとロマンティックな気分にひたれる。
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by teccyan1
| 2011-11-04 18:42
| クラシック・ギター音楽
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