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じみじみとチェロの響き

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「j.s.バッハ 無伴奏チェロ組曲(全6曲)」(ピエール・フルニエ、チェロ、日本フォノグラム、PHCP-3507~8、 帯にPHILIPS SUPER BEST120 超盤とある)

雨が続いたので少しの晴れ間をついて外出。広島の廿日市まで中古品をながめにいく。フルニエのバッハ、無伴奏チェロ組曲全集がある。買ってしまった。2450円。けっこうなお値段。今時、これなら新品が買える。が、フルニエはあまりない。で、おもわず買ってしまう。

ああ、同じ中古ならカザルスが買えておつりがたくるのに、と思ったりするが、いやいやフルニエ、これはこれでいいではないかと自分に言い聞かせる。ちょっと後悔するのは、他にも買ったから。とにかく家で聴いてみる。

こんなにゆっくりだったかなあ。最近の演奏家のテンポが速くなっているのか、ゆったりと聞こえる。おかげで細部まで丁寧にしっかりと聞こえるし、なんとなく上品、いやしっかり上品。絹のフォーマルウェアのような光沢と肌触り。なめらかに歌うチェロの音に耳をずっと傾けていられる。

おそらく、最近の演奏家とは響きも技術もずいぶんとちがうことだろう。リズムというかフレージングというか、それによる表現はかなりちがうのでは。音の重なり具合なんか楽譜が違うのか、と思うくらい。フルニエは響きより旋律のような。不協和な緊張感はうすい。しかし自分のクラシック体験では、こういう演奏がチェロの美しさだったし、バッハの良さだった。音楽は時代とともに変わり、そして変わらない価値もそこにある。

揺り椅子に座ってパイプをふかし、目つぶって耳をかたむける、という絵はこういう演奏のためにあるような、長時間、気持ちよくバッハを堪能できる。





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by teccyan1 | 2012-07-07 20:10 | クラシック音楽 | Comments(0)

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