オレの酒が飲めんのか

 森有正氏によると、日本では、「私」というのは、「あなた」にとっての「あなた」でしかないらしい。つまり個人というものが存在しないかのような社会をつくっているらしい。リーダーは部下のために、部下はリーダーのために。だから責任の所在はなくなるのである。

 私たちは、ひとつの集団において、個人の都合などというものを口にしようものなら、「すると何か、おまえはオレの酒が飲めんのか」とせまられるのである。酒に弱い、とか体調がすぐれない、ひかえている、などの個人の都合は組織への反乱である。
 自治会の決め事、PTAの決め事、企業の決め事、ありとあらゆる組織の中で、決められたことに対する個人の意見は、その集団から「オレの酒がのめんのか」とせまられる。「意見」というものは、「くちごたえ」にすぎない。
 そこでの言葉のやり取りは「議論」ではなく「口げんか」であり、意見は大きな声でつぶされるか、黙りこくって、無視されるるかのどちらかである。
 中には「個人を大切に」と言いながら、個人を認めるのでなく、内心で集団内を線引きするだけの人間もいるのである。

 森有正氏の考え方はたいへんおもしろいく、多くの企業犯罪や政治犯罪において、犯行が確定されないのはそのせいではないかと思う。
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by teccyan1 | 2006-05-20 00:21 | Comments(0)

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