2006年 07月 13日
車輪の下
「車輪の下」を読んだ。
ヘッセに感動しつつ、読んでいない有名作品のひとつで、興味も湧かなかったのだが、何か忘れ物をしているようなのも嫌であった。タイトルは、記憶通りなら、主人公が神学校で、成績不振を校長から注意される時の台詞にある。
「それじゃ結構だ。疲れきってしまわないようにすることだね。そうでないと、車輪の下じきになるからね」
主人公は結局、下じきになった。
この作品は、青春の悩みがどうの、と解説する文を読んだことがあって、若干の先入観もあったが、それは間違いではなくとも、狭い理解であろう。読後は「ちがうじゃん」である。ここには打ち捨てられた精神の死体が描かれている。
学校批判といわれることもあるらしいが、現象としてそうみえるだけであろう。彼の歴史を少しでも知る時、彼は彼の作品のタイトルにもある「荒野の狼」でありつづけたわけだから。
「車輪の下」がヘッセに与えるイメージは大きい。「シッダルタ」や「メルヒェン」「知と愛(ナルチスとゴルトムント)」「荒野の狼」「ガラス玉演戯」など読む時、それを残念に思う。
注意!写真とフォントを修正しようとしたとき、手違いで日にちが変わってしまった。2006年であることは間違いないが、日付が確かでない。一応ここへ日にちを指定しておいた。(2012.4.11)
by teccyan1
| 2006-07-13 13:53
| 本
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