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NHK-FM「20世紀の名演奏」で、ブダペスト弦楽四重奏団によるベートーヴェンの弦楽四重奏曲を聴いた。第1番(op18-1)、第7番(op59-1)、第10番ハープ(op74)、第14番(op131)より第4楽章。

ベートーヴェンの弦楽四重奏曲はたくさんのCDがでているが、どれもこれも買うというわけにはいかないので、ラジオや中古CDを漁っている。モルゴーア・カルテット、フェルメール・カルテット、ベルリン弦楽四重奏団(ズスケ・カルテット・ベルリン)、タカーチ弦楽四重奏団。

第7番、9番のラズモフスキー1と3、第1番、第14番あたりがだぶっているので比較して聴いている。どの演奏も名曲といわれるわりにそんなに感動的でない、やっぱり後期の作品にはかなわないんだろうと思っていた。

ところが、ブダペストは聞かせてくれた。歴史的名演というのはやはりすごいもので、第1番はやはり名曲だった。第1楽章のえぐるような迫力、第2楽章のロマンティックな歌。第7番のラズモフスキー1もすばらしい、第1楽章の雄大さ、第3楽章の悲しい歌。曲の魅力をしっかりと伝えてくれる。

「20世紀の名演奏」という番組で紹介される演奏に、わたしはどうもこころひかれることは多い。それらがまさに名演奏であるということに加えて、ひと時代前の演奏に若干ただよう歌の甘さ、悲劇的な響きが好きなんだろう。

肝心の第14番は第4楽章(アンダンテ・マ・ノン・トロッポ・エ・モルト・カンタービレ)のみ。後期の曲はこれだけ、なんだかいいところでいいものをさっと取り上げられた感じだ。だが初期中期の演奏があれだけ魅力的なら後期はさぞかしすばらしいだろう。
ソニーからこの四重奏団のCDが発売中である。これは欲しい。けど全集のみ。高い。けど価値はありそう。うーん、どうしよう。

# by teccyan1 | 2008-07-01 15:31 | クラシック音楽 | Comments(2)

プラテーロとわたし セゴビア_f0005774_91983.jpg

「セゴビア・コレクション・第5集 プラテーロとわたし〜カステルヌオーヴォ=テデスコ作品集」ワーナーパイオニア、MCA RECORDS、27P2-2407。

ギターにもピアノやヴァイオリンのように名曲がある。曲集「プラテーロとわたし」もそのひとつ。レコードだった頃、その中の「子守唄」を聴き終わった時、一緒にいた数人が感動のあまり口も聞かず顔を見合わせた、という思い出がある。聴くほどに愛着が強くなる。

良い曲だとあまりに吹聴したため、それならと友人が詩のスペイン語版をくれた。日本語では岩波文庫がある。詩だけでも楽しめる。散文詩というものがわかりやい。愛読書になっている。「アンジェラスの鐘」は詩も曲もすばらしく好きな曲。

”ごらんよ、プラテーロ、薔薇があたり一面に降りしきる、そのありさまを。青い薔薇、白い薔薇、色のない薔薇・・・ 空が砕けて、薔薇の花になったとでも言えそう。ごらんよ、わたしのひたいに、肩に、両手に、薔薇がいっぱいたまるのを・・・ こんなにたくさんの薔薇を、いったいどうしたものだろう?。”
部分抜粋、「プラテーロとわたし」(J.R.ヒメーネス/長南実訳/岩波文庫)より。

曲ではギターのハーモニクス音から始まり、薔薇が天から降るように音階がおりてくる。”また降りしきる、降りしきる薔薇よ。”アンジェラスの鐘は詩の魅力を、芸術の魅力をうたう。

このセゴビアの演奏は詩が言葉で語られなくとも、ギターと詩とスペインとクラシックと芸術と、すべてが魅力的に感じられる。

曲集「プラテーロとわたし」から10曲、「トナディーリャ」、「ギターと弦楽4重奏のための5重奏曲」が収録されている。

# by teccyan1 | 2008-06-28 09:23 | クラシック・ギター音楽 | Comments(0)

ヘッセ メルヒェン

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「メルヒェン」ヘルマン・ヘッセ/高橋健二訳/新潮文庫。

アウグスツス、詩人、笛の夢、別な星の奇妙なたより、苦しい道、夢から夢へ、ファルドゥム、アヤメ、ピクトルの変身。出版年によって最後の「ピクトルの変身」がない。ヘッセを読みすすんでいると最もヘッセらしいと思う作品群。

誰からも愛される子に、という母の祈りが叶えられた少年はどう育ったか。笛の天才児は人々に聞かせに行く途中の舟で誰とであったか。ヘッセが小説家というより詩人であることを強く感じた作品。


「ヘルマン・ヘッセ全集9 メールヒェン、物語集Ⅶ」ヘルマン・ヘッセ/日本ヘルマン・ヘッセ友の会・研究会/臨川書店。

臨川書店から新しく出た全集では、メルヒェンは第9巻に入っている。他に、小人、影絵芝居、謎につつまれた山、神々についての夢、イーリス、ヨーロッパ人、籐椅子の話、国家、売られた土地、友人たちに、魔術師の幼年時代、幽王、鳥、がメルヒェンとして掲載されている。

物語集は短編で、主作品の周辺を物語りやエッセイのように語られる。「夕方に詩人が見たもの」「荒野の狼について」、詩人らしいタイトル、作品を使ったタイトルが目をひく。
# by teccyan1 | 2008-06-28 08:59 | | Comments(0)

バッハ/カンタータBWV29

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「j.s.バッハ カンタータBWV29/BWV119」ロッチェ(指揮、ten)他、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団、ライプツィヒ聖トーマス教会合唱団、ドイツ・シャルプラッテン/徳間ジャパン 32TC-49。古本屋で発見。480円。

BWV29「神よ、われら汝に感謝す」、1曲目のシンフォニアはヴァイオリン無伴奏パルティータ第3番のプレリュード。オルガンの独奏に管弦楽が伴奏する。カンタータというと、宗教臭くておもしろくないという印象があったが、意外と楽しい。詩は、やっぱり神賛歌だから、歌うのはきがひけるけど、音楽を聴くにはすばらしい。

解説には、このころは作曲に力が入っていないとある。カンタータとしては格落ちかもしれないが、今の時代には興味深い。バッハ自身が編曲しているわけだし、音楽の扱い方も、芸術家バッハというより職業人バッハが知られておもしろい。

このCDはライプチヒでのバッハの仕事を、御当地のライプチヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団とライプチヒ聖トーマス教会合唱団によって再現した記録的なCDといえる。

# by teccyan1 | 2008-06-26 19:40 | クラシック音楽 | Comments(0)

ベートーヴェン/弦楽四重奏曲第14番 ズスケ_f0005774_843133.jpg

「ベートーヴェン弦楽四重奏曲第14番・第3番」ベルリン弦楽四重奏団(ズスケ・カルテット・ベルリン) KING RECORD、ハイパー・リマスタリング・ドイツシャルプラッテン・ベスト、KICC-9528。

14番探しで最後に届いたCD。バリリの暖かいのに対し、厳かな雰囲気につつまれる。バリリがうっすらと微笑みを浮かべているのに対し、厳しくはないが少し深刻さが加わり顔を伏せている。

出だし、ゆっくりとバッハのように進んでいく。響きは柔らかく線は丁寧。録音の良さをうたっているシリーズだけあって雑な音はしない。アルバン・ベルクのような華やかさはないが、耳に強い衝撃もない。時間もバリリ、ベルク盤と比べてそんなにちがわないのにズスケ盤が一番さらりと時間がすぎてしまう。

このCDはレンタルCD屋で徳間ジャパンからでていた旧録音盤も聴いているが、あきらかに録音はちがう。こちらの方がたくさんの音が聞こえてきて、響きが柔らかい。旧盤はそれをきゅっとつめたような密度を感じる。柔らかい方が長く聴いていても疲れないし、音量をあげてもうるさくない。密度が濃い方が印象は強い。さてどちらが良いのだろうか。

# by teccyan1 | 2008-06-26 09:02 | クラシック音楽 | Comments(0)

自分のこと、音楽のこと、本のこと。

by teccyan1
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